新しいサービスの集客を考える時、「ターゲットは中小企業の経営者です」と決めることがあります。対象を一言で共有できるため、企画の出発点としては便利です。しかし、そのまま広告やWebサイトを作り始めると、伝えたい内容が増え、結局は誰にも強く届かない表現になりがちです。
同じ経営者でも、売上を急いで増やしたい人と、社内の運用を整えたい人では、知りたい情報も判断の早さも違います。役職や会社規模だけでは、今どんな場面にいて、何を理由に動くのかまでは分かりません。
ターゲットを狭くする目的は、見込み顧客を減らすことではありません。必要な人が「自分のための話だ」と判断できるように、状況と課題を具体化することです。
役職だけでは、検討のきっかけが見えない
経営者という言葉には、創業直後の代表者も、複数部門を持つ会社の社長も含まれます。本人が情報を集めて即決する場合もあれば、担当者へ比較を任せ、最終承認だけを行う場合もあります。
この違いを置いたままでは、「売上を伸ばしたい方へ」「集客でお困りの方へ」といった広い表現に寄りやすくなります。間違いではありませんが、多くの会社が同じことを言えるため、自社を選ぶ理由にはなりにくいものです。
最初に確認したいのは肩書ではなく、検討が始まった具体的な出来事です。新規事業を立ち上げた、広告費が増えたのに商談が増えない、担当者が退職して運用が止まったなど、動き始めた理由を言葉にします。
会社の条件より、今いる状況で分ける
業種、従業員数、売上規模は、提供できる範囲を判断するために役立ちます。ただし、同じ条件の会社でも抱えている課題は同じとは限りません。属性だけで分けると、必要以上に大きな市場を一つとして扱ってしまいます。
まずは、相談前の状況を次のように整理します。
- 現在取り組んでいる施策と担当者
- 期待していた結果と実際の差
- 社内で判断できず止まっていること
- いつまでに変える必要があるか
- 今回の検討で避けたい失敗
たとえば「広告を出している会社」ではなく、「問い合わせは増えたが商談化せず、広告と営業のどちらを直すべきか判断できない会社」と置きます。必要な説明と支援の入口が見えやすくなります。
一人に絞るのではなく、課題の型を決める
ターゲット設計というと、架空の人物を一人だけ詳しく作る方法がよく使われます。しかし、年齢や趣味を細かく決めても、サービス選びとの関係が弱ければ企画には生かせません。
必要なのは人物像の細かさではなく、相談につながる課題の型をそろえることです。誰が決めるのか、何に困っているのか、何を比較しているのか、放置すると何が起きるのかを一組にします。
複数の課題がある場合は、無理に一つへまとめません。主な型を二つか三つに分け、それぞれに入口となる広告、記事、サービスページを用意します。全員へ同じ説明を見せるより、必要な情報へ案内しやすくなります。
言葉は、顧客が社内で使う表現へ近づける
課題の型を決めたら、実際の商談記録や問い合わせ内容を確認します。社内では「マーケティング戦略の再設計」と呼んでいても、顧客は「何から手を付ければよいか分からない」と話しているかもしれません。
訴求を作る手順は、次の順番が分かりやすいです。
- 商談や問い合わせから、検討開始の言葉を集める
- 似た状況と課題を型にする
- 最初に知りたい答えを決める
- サービスの違いを答えに結ぶ
- 広告・Web・営業の言葉をそろえる
専門用語をすべて避ける必要はありません。最初の見出しでは顧客の言葉を使い、その後に自社の考え方や方法を説明すると、理解と専門性を両立できます。
公開後の反応から、設定を更新する
ターゲットは会議で決めて終わるものではありません。広告のクリック、ページの閲覧、問い合わせ内容、商談化、失注理由を見ながら、想定した課題の型が実際の顧客と合っているかを確かめます。
問い合わせ数だけを見ると、広い表現へ戻したくなることがあります。しかし、数が多くても対象外の相談が増えれば、営業の負担は大きくなります。件数に加えて、対象顧客の割合と商談の進み方を確認します。
誰へ届けるかは、集客数ではなく、必要な相手が判断を進められたかで見直すことが重要です。反応が弱い時も、すぐに対象を広げず、状況、課題、言葉、提示する答えのどこがずれているかを切り分けます。
自社のターゲット設定から広告、Webサイト、営業までを整理したい場合は、サービス資料でcommitの支援内容をご覧いただくか、現在の集客課題についてご相談ください。
